
西荻窪へ所用で出かけての帰り道、お茶でもしましょうということになり、
はたと考えてみたが、矢張りここは外せない。
それくらいの安心感が有ります。
昭和24年創業で、ケーキや洋菓子の他に本館3階はフランス料理、
近くの別館はテラスレストランになっています。
店のシンボルとなっている女性の絵は洋画家の鈴木信太郎氏の筆によるもの。
包装紙は緑色の地に紅白で女性が描かれています。
こけし屋の由来である、こけしも店内に飾られています。
2階の喫茶室でコーヒーとケーキをいただきました。
いずれも、派手さはありませんが、しっかりとした味です。
お値段も大変リーズナブルでした。
こういうお店が近くにあると、行き着けになってしまいます。
ついつい長居しがちですね!
こけし屋とカルヴァドスの会(2)
この店の包装紙や箱には可愛い西洋人形のような女性の絵が描かれていて、
店のシンボルになっている。絵の片隅に「す」のサインがある。
この絵を描いたのが昭和の洋画壇で活躍した鈴木信太郎(1895~1989)。
アンリ・ルソーを思わせるような素朴な画風で知られた。色彩が鮮やか。とくに緑が美しい。
(中略)
西荻窪の駅前広場は、ベレー帽姿の画家たちの姿が目立ったので、
戦後の一時期「ベレー帽広場」と呼ばれたほど。
「こけし屋」はそうした中央線沿線に住む文士や画家たちがよく集まった。
石黒敬七が会長となり、井伏鱒二や丹羽文雄、徳川夢声、東郷青児、田川水泡らが
「カルヴァドス会」という会をもった。
「カルヴァドス」は、戦後公開された映画「凱旋門」(1948年)のなかで
イングリッド・バーグマンがパリのビストロで飲んでいたりんごのブランデー。
鈴木信太郎もこの会のメンバーだった。それが縁で「こけし屋」の包装紙を手がけたのだろう。
没後二十年たってもまだ鈴木信太郎の絵が日常的に見られるのは楽しい。「鈴木信太郎」 杉並区郷土博物館分館企画展 展示図録より
こけし屋ホームページ こけし屋の歴史 その4より
このように、こけし屋の歴史は中央線沿線の文人たちに愛された歴史です。
西荻窪へ出かけるなら、是非 立ち寄って頂きたいお店です。